恋歌-Renka-



「私は美島 杏里。去年は4組担任でした!あだ名は"美島先生"とか"美島っち"とか"あんちゃん"とかいろいろあるよー!よろしくね!」





「「「よろしくお願いします!」」」





「それから今日はもう一人!初めてさんを紹介しちゃうね!ほら入って!」





先生の一言で嫌な汗が
滲み出る……まさか?





なんていう疑問は
直ぐ様、確信に変わる





涼太とまた同じクラスに
なれた喜びで





ちゃんとクラス表を
見ていなかったから
全然気づかなかった





あのブロンド………
整った顔だち





さらには私と目が
合ったときに
あの怪しげな
笑みを浮かべる





間違いない。





霧山 遙ーーーーーー





私が心で彼の名前を
言い切ると共に
彼も黒板に書き終わる





「霧山 遙です……。日本とアメリカのハーフで生まれは日本。宜しくね」





まるで自分がここに
いることが当たり前とでも
いうように平然と
自己紹介を済ませる





私は勢いよく席を立ち





「何しに来た?」





霧山を思いきり
威嚇しながら睨みつける





「奪いに来た」





そう言って妖艶に笑う





帝は霧山を睨み付け
何も知らない萌奈は
私と霧山を交互に見る




何も知らないのは
クラスメートも先生も同じ





「なんか……よくわからないけど。知り合い?みたいね。ちょうど良いことに、霧山くん冬院さんの隣だから」





そんな先生の
とんでも発言に
驚いた私は
バッと辺りを見渡す





今は出席番号順




私は真ん中あたりの
席にいる………




なのに、真ん中にも関わらず
隣の席は綺麗に空いている
ではないか…………




そうだ、きっとまだ来てないんだ!





「こ、ここには他に誰かいますよね?きっとまだ来てないんですよ!」




私は必死に抗議する





霧山と隣同士なんて
ありえない!!!




「あ、その席の子……春休み中に退学になっちゃったの……席調整してなくて。だから、そこしか空いてないのよね………席」





本当に崩れない笑顔で
隣の席を指差す





この先生…………
殴っていいか?
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