恋歌-Renka-



「覚えてるみたいだね……」





「フンッ……だからどうした?」





「もう一度聞く………あいつと別れる気になった?」





急に低くなる声色に
体がビクッと震える




「わ、別れないって言ってるだろう?お前の指図なんて受けない」





「そう、わかった………」




やけに素直に
引き下がる霧山に
安堵の溜め息を漏らす





「わかったなら、その手を離せ」





私が睨みながら言うと





「帝 涼太の父親………」





霧山がボソッと呟く………




「え?」





「帝 涼太の父親………うちの父さんの会社の社員なんだよね………」





「なっ…………」




まさかそんな偶然が
世の中にあるわけ………






いや、でも大晦日の日
涼太パパと話をしたとき
音楽会社に勤めてるって
言ってたような………





「だからさ………簡単に壊せるんだよ………あんな家族。」





「フンッ…嘘ではないみたいだな………でも、そんなのただの脅しだろ?私をアメリカに連れていく為の。」





「脅し…ね」




乾いた笑いを漏らして
遠くをみながら呟く




「それに、万が一………彼に手出しをしても、私が命がけで守ってやる」





私は揺るぎない瞳で
霧山を強く見据える




「守る………守れるなら守ってみなよ。その貧弱な体で………。まあ、せいぜい自分の無力さに嘆いて………俺のもとへ来るようになると思うけど」





「貧弱だと?私は弱くない。絶対にお前のところになんか行かない」





「まあ、そうやって意気がってなよ」





私を嘲笑うと手を離して
教室を出ていく霧山




それと入れ替わるように
涼太が勢いよく入ってきた





「花音!!」




「涼太………」




私は思いきり
抱き締められた。
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