恋歌-Renka-
「涼太!!」
「花音……」
「とりあえず何があったのか、落ち着いて説明してみろ……」
私の言葉に涼太が
小さく頷く……
「俺の親父な………音楽会社の企画開発部で働いてんだけど…………なんか会社の売り上げを少しずつ横領してるって起訴されて………」
「なっ、そんな………」
「で、親父に聞いたら、そんなことしてないって言うんだ。親父は絶対に嘘ついてない………息子だから、それくらい嘘か本当か見抜ける。」
「私も涼太のお父さんが、そんな事をするような人に見えない………きっと何かの間違いだ!!」
「そう思って俺も会社の上司に会いに行ったんだけど………軽くあしらわれちゃってさ………社長には会えないし……上司には追い返されるし………本当、情けないな俺……」
「そんなことない!お父さんを助けるために、そこまでやった涼太は凄いと思う!」
なのに………
私は何をやってるんだ?
「ありがとう………」
悲しげに笑う涼太
確かにあの春この手で
彼を守ろうと決意したーーーーー