恋歌-Renka-
けれど怯むことない霧山は
胸ぐらを掴んでいる
私の手を引き剥がし
くるっと捻って
ベッド側に押しやった
今の体制
私が霧山にベッドへ
押し倒されて私の上に
馬乗りになってる状況
抵抗してもピクリとも
動かない霧山
「自分の無力さ思い知った?」
私じゃないどこか
遠くを睨むように
霧山が口を開く
「ほらね、ただの脅しなをんかじゃなかったでしょ?苦労したんだよ?このデマでっち上げるの……」
「うるさい!私にだってまだ、出来ることがあるかもしれない」
「あるわけないじゃん。大企業の社長が仕組んだ事だよ?関係ない庶民が口出ししたとこで、追い返されて終わり………」
「じゃあ、やめてくれ!!無実を証明してくれよ!」
私は藁にもすがる思いで
霧山の腕を掴んだ
「花音が、あいつと別れて俺を選んでくれたら、助けてやってもいいけど?」
いきなり怪しい笑みを
浮かべる霧山に
若干の恐怖を覚えるが
「無理………そんなこと出来ない」
私は溢れそうな涙を
堪えて必死に睨み付ける
「出来ないなら、そんなお願い聞いてやれないな………」
そんな………
どうしたらいい?
私は今まで自分のことを
買い被りすぎていたのかもしれない
でも、実際には
目の前のこの卑劣な男に
振り回されるくらいに弱くて…………
大好きな人すら守れないんだ。
「まぁ、もし来ないって言うなら……他の友達も傷つけてやっていいんだけど………」
「なっ!!!」
霧山のとんでもない発言に
私はカッと瞳孔を開き
目の前の最低な男を睨みつける。