恋歌-Renka-
「……うぅっ………」
電話を切って
その場に泣き崩れた
ベッドの真ん中で
何度止めようと思っても
止まらない涙を流し続ける
その隣に霧山が
腰を降ろす
「これで満足か?」
「ああ、とりあえず満足だ。まあ俺にはまだ、花音と結婚しなきゃいけないっていう仕事があるけど」
「愛がない結婚?」
「愛は無くても結婚は出来るよ?」
本当に腐っている
どこまでも汚い奴だ
「ふんっ……でも、お前。あの父親の養子なんだろ?親権を奪い返した今、私とお前は兄妹だぞ?結婚なんて出来ないだろ」
まあ、実際問題
別に血は繋がってないから
結婚は出来るが……
「ああ、心配しないで………少し時間はかかったけど、養子縁組取り消してあるから………」
こいつ……ほんとに
凄いやつだな……
悪い方面ばかりに……
「だから結婚できるよ?」
不適な笑みを浮かべる霧山を
ただただ真顔で見つめた。
「とりあえず、もう寝る。一人にしてくれ」
しばらくして私がそう呟くと
「花音は我が儘だなぁ。はいはい、今出てくよ」
クスクス笑いながら
霧山は私の部屋を出ていった。
本当にいろいろ
あったな………
辛かったり
苦しかったりも
したけど………
人を信じて関わるってことは
悪いことじゃない
それをあいつ………
霧山にも教えてやらないと。
私があいつの
性根を叩き直してやるんだ
かつて涼太や蒼たちが
私にしてくれたように。