恋歌-Renka-
「アメリカなんて………何だってまたそんな………」
「知らない……私にもわからないの………」
「そんな……」
まさか霧山………
霧山 遙とアメリカへ?
花音の昨日の言葉は
全て嘘で………
実は霧山 遙を
好きになっていたとか?
俺は理解しきれない
山積みの疑問と問題を
悶々と頭の中で考える
「はい、これ」
汐莉さんが
静かに涙を流しながら
俺に小さな封筒を
差し出してきた
「何ですか?これ………」
俺はいったん考えるのを止め
封筒に視線を落とす
「これね、花音が残していったみたいなの……。涼太くんへの手紙」
「そうですか。わざわざ押し掛けてごめんなさい……ありがとうございました」
俺は手紙を受け取って
踵を返すとただ無心で
歩き出した………