恋歌-Renka-
「どこにします~?ファミレスでいいですかぁ?」
「もう、どこでもいいよ……」
めんどくさくなって
適当に答える俺
「じゃあ、ファミレスにしましょうっ!!!」
俺は琴乃に腕を
引かれながら
ダラダラと歩く
そこで………
サングラスをかけて
いかにも高そうな
皮のコートを身に纏った
長い黒髪の女性が
俺の横を通り過ぎる
ハイヒールを履いて
カツカツと音を立て
歩く彼女の隣には
全身黒ずくめの
男性が二人
彼女らは車に乗って
どこかに去って行った。
サングラスかけてるし
顔なんて全然わかんなかったけど
俺はいつの間にか
「花音………」
無意識に呟いていた。
「先輩………」
「先輩っ!!」
琴乃の大声で
我に返る
「え、ごめん何?」
「早く中に入りましょ!」
と目の前を指差す。
ああ、いつの間にか
ファミレスの前まで
来ていたのか……
俺は琴乃と一緒に
店内の中へ入ったーーーーー
ーーーーーーーーーー
「えーと、デミグラスソースハンバーグと……先輩は?」
「え、あ……俺もそれで」
「じゃあ、それ2つで!あとは、ドリンクバー2つ!」
「かしこまりました。」
店員に注文して
しばらくして
料理が運ばれてくる
俺はさっきの
女性の姿を
思い浮かべながら
ボーッと料理を
見つめていると
「先輩、食べないんですか?」
既にナイフとフォークを持って
ハンバーグを食している
琴乃が不思議そうに首を傾げる
「あ、いや………食べるよ!」
俺は女性像を
頭から消して
食べる事にだけ
集中したーーーーー