恋歌-Renka-





ファミレスを出て
帰宅の途につく。



自室に向かうなり
鞄を投げ捨て
ベッドにダイブする




浮かんで来るのは
先程の女性




どこか花音に
似てた気がする………




なんてな………あるわけないか。





俺は引き出しを開けて
一通の手紙を取り出す




5年前




花音が俺に残して
いった手紙





「本当………何が帰ってくるだよ。もうすぐ医大も卒業だっつーの…」





俺は乾いた笑いを漏らす




1年や2年ならまだしも
さすがに5年も経ってしまったら
この手紙の言葉も全て嘘に見えてしまう




やはり………




花音は霧山が
好きになったのかも。




今頃、結婚してアメリカで
暮らしてるのかもな



なんて……弱気になる。




でも………もしかしたら。




悪魔と天使が
絡み合うように




信じたい心と
信じきれない心が
交差するなか




俺はいつの間にか
眠りについていた。




ーーーーーーー




「涼太ご飯よー!」




お袋の声で目が覚める




「何?あんた寝てたの?」





「ああ。」





テーブルに座って
箸を持ち




「いただきます」




と手を合わせてから
食べ始める………




「いやぁ、ずいぶんと大きくなったわね」





「な、何だよいきなり……」




お袋の意味不明な発言に
眉をひそめる




「男らしくなったってことよ…」





お袋は満足げに笑う




「おいこれ………」




そんな中




ご飯を食べながら
テレビを見ていた親父が






驚愕の眼差しで
テレビを指差す






俺はテレビに視線を向ける





「MWじゃん。あ、そっか今日……金曜か。」






MW(ミュージック ワールド)
今、もっとも人気の
音楽番組




画面の中には
司会者がいて
特に驚くような
事は何もない…………




しかし次の瞬間
俺は目を疑ったーーーーー
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