恋歌-Renka-
画面のちょうど真ん中くらいに
長い黒髪の美人女性が
座っている………
その人は昼間に会った女性
そしてーーーーーー
「アメリカで音楽活動を始め……その透き通るような美声と美貌で今やアメリカ中で大人気のKanonさん………日本へ帰国してからは今回が初めてですか?」
「ええ、そうです。ちょっぴり緊張してます」
画面の中で笑う彼女………
「そうですか、今回歌われる"恋歌-Renka"はどんな曲なんですか?」
「この曲は、昔付き合ってた人を想ってつくった曲です………もう会えないのかな。という切ない気持ちを込めて書きました………」
「そんなKanonさんの心………届くといいですね。それではスタンバイお願いします!」
「はい」
妖艶に笑う画面の中の
Kanonは間違いなく
あの花音だーーーーー
「涼太、この子って……」
「ああ、きっと………いや、間違いなく花音だ……」
花音は舞台に立つなり
カメラ目線で
「涼太へ」
口パクで確かに
そう言った。
きっと俺以外は
気づいてない………
メロディが流れ始めて
彼女は歌い出したーーーーー