恋歌-Renka-



HRが終わってすぐ
帝のもとに向かい



「何で私を指名した?」



なるべく平穏な声で聞く。



「別に、なんとなく。」



「何がなんとなくだ!お陰で…」



「冬院さん」



私が帝に文句を言っていると
西谷の声に遮られた。



「あ、そうか、ごめん。」



そういえば、今日早速
委員会の集まりがあるんだった。
こんな奴とこんなとこで
油を売っている暇は無い。



私は帝を一瞥して
西谷のもとへ行こうとする



しかし、それは帝によって
阻止されたーーーーー。



私の腕を突然掴み離そうとしない帝



「今、急いでるんだが?」



「ねえ、冬院は優樹が好き?」



突然、何を言い出すんだコイツは?
そんなことより早く離してほしい……



「あまり、優樹と仲良くしないで」



そんな私の願いとは裏腹に
悲しそうな顔で俯く帝。



でも私にはその意味が理解できない。



どうしたんだコイツ……。



「冬院さん遅れますよ!」



なんとも言えない空気を
打ち壊すかのように西谷の
急かす声がする。



私は慌てて帝の手を振りほどくと
西谷のもとへ向かったーーーーーー。
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