恋歌-Renka-
そこで…画面が切り替わり
美人女性が登場した
その面影はお昼に見た
あの女性と瓜二つで
私は目を疑った。
しかし、名前を聞いた瞬間
それは全て確信へと変わる
「Kanon……」
先輩が小さく呟いた
"かのん"と同一人物なのは
間違いないーーーーー
そう考えたら
いてもたっても
いられなくなって
気づいたら駅まで
走り出していたーーー
電車を乗り継いで
やっと先輩の地元へと
たどり着く
先輩の家には昔
一度だけ遊びに
行ったことがあったから
わかってる
私は早歩きで
先輩の家へと急いだーーーーー
家の前まで着いて
心がズキッっと痛む
どうして車に乗ろうとしてるの?
そんなこと聞かなくたって
もう分かってる
彼女に会いに行こうと
してるんでしょ?
「先輩!」
私は先輩を呼び止めて
彼のもとへと歩み寄る
「琴乃………何でここに?」
先輩は私の姿を見るなり
目を真ん丸にして驚く
「先輩に伝えたいことがあって……」
「ごめん、今はとにかく時間ないから!琴乃、お前も乗れ」
でも、そんな先輩の表情は
一瞬で真顔に戻り
私を車に乗るよう急かすから
言われるがままに乗ったーーー
ーーーーーーーーー
着いた先は、とあるテレビ局
ほらね…思った通り。
先輩はKanonさんに
会いに来たんだ……
「間に合わなかったか……」
隣で先輩が落胆の声を漏らす。
もし間に合ってたら
どうなってた?
先輩はその人とよりを戻すの?
そんなの……辛すぎる
「今………先輩が探してる人ってもしかして、お昼に会ったあの女性ですか?」
もうわかりきっている答えを
あえて問うてみる
ねぇ………先輩
「え?」
「確か花音さんって……言ってましたよね。テレビ局に来たのって………MWに出てた花音(Kanon)さんに会うためですよね?」
私の気持ちに
気づいてるくせに
「そうだよ……」
無視しないでよ………