恋歌-Renka-
ある日ーーーーー
「もー!あのお気に入りのリップどこやったっけ!?」
お気に入りのリップを
無くしてあっちこっち
探していると
「あ、あった!」
リップを見つけると
同時にパラパラっと
一枚の紙が舞う
「なんだコレ………」
拾って見てみれば
それは佐久間さんから
頂いた名刺だった。
いい人だったし
久しぶりにお話し
したいなぁ~
そう思い、なんとなく軽い気持ちで
佐久間さんに電話を掛ける
「はい、もしもし?」
寝起きなのか
不機嫌そうな声で
電話に出る佐久間さん
「覚えてますか?あの、半年前くらいに道端で大泣きしてた奴なんですけど………」
「は?」
やっぱ、さすがに
覚えてないかー
会ったのたったの
一回だもんね
私、名前も教えて
なかったし………
私がガックリ肩を
落としていると
「あー、思い出した!あの時の泣き虫ちゃんか!えーと名前は…………あ、名前知らないや」
佐久間さんが
あははと笑う
「私、栗乃木 琴乃って言います!」
「くりのぎ………ってまた偉い珍しい苗字だね。ことのちゃんって呼んでいいかな?」
「全然大丈夫です!………あと今って時間ありますか?」
「今?んー、今日は仕事休みだし……用事もないから大丈夫だけど…………何?デートのお誘い?」
佐久間さんが
ケタケタ笑いながら
私をからかう
「もう、からかわないで下さいよー!」
「ごめん、ごめん。ついね?」
「とりあえず、久しぶりにお話がしたいなと思ったんです」
「そっか。大丈夫だよ」
「ありがとうございます!じゃあ2時に○○カフェで待ってますね!」
「了解」
私は佐久間さんとの
電話を終わらせて
急いで支度を始めたーーー。