恋歌-Renka-




「いいんです………」





そんなこと言ったら
嘘になるけど…
先輩には先輩の好きな人と
幸せになって欲しいから






でも万が一、花音さんが
見つからなかったら
私は本気で先輩を
手に入れるつもりでいる。





「本当に?」





「はい。彼が好きな人と結ばれて幸せになる事が、私の幸せなんです。」





「琴乃ちゃん強いね……」





「そんなことないです」





「強いよ………」





切な気な顔で
微笑む佐久間さん





「何かあったんですか?」





「前に婚約者がいるって言ったよね?」





私は佐久間さんの言葉に
コクリと頷く





「婚約………破棄になっちゃったんだ…………」






「そんな………」





今にも泣きそうな
弱々しい声で
切な気に微笑んだまま
コーヒーを口にする。





婚約破棄だなんて…
そんなの悲しすぎる。




「俺は、彼女の幸せを願ってる………けど、やっぱりその隣は花音じゃなきゃダメなんだよ………花音以外はありえない………」




佐久間さんの最後の言葉に
ピクリと体が反応する



今…………



「何て言いました?」




「え?」




「後半の…………婚約者の名前!!」




私は身を乗り出して
佐久間さんに詰め寄る



もしかしたら
聞き間違えかもしれないし




例え、そうだとしても
同じ名前の違う人かもしれない





佐久間さんは私の
勢いに少し戸惑いつつも
唇を開いたーーーーーー
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