恋歌-Renka-




「花音…だけど」


聞き間違いじゃないなら…



「どんな字を書くんですか?」



「ど、どうしたんだ?急に………」



真剣に食い入る私に
怪訝な顔をする



けれど私はそんなこと
お構いなしに



「いいから、教えて下さい!!」



声を荒げて言った………




「花に音って書いて花音って読むけど…」




名前は一緒か………
それがもしも
先輩の探している
花音さんだとしたら



私はそれを確かめる
必要がある………




「その花音さんに………会わせてもらえませんか?」




私は真剣に佐久間さんの
目を見て話す




「俺の友達として特別に会わせてあげる………でも、何で?」




「佐久間さんの婚約者………もしかしたら先輩が探している人かもしれません」




私の言葉に驚いた顔をする
佐久間さん………





しかし、それは瞬時に
焦りの色に変わる………





私は半信半疑
佐久間さんの婚約者がいる
場所へ向かうため





彼と一緒にカフェを後にしたーーーーー





ーーーーーーーーーー





佐久間さんが働く
レコード会社




ん?………よくよく考えれば
この会社って…………





先輩のお父さんが
勤めてる会社じゃん!!





「なんたる偶然………ってか、今さら気づくとか自分バカ」





「え?」





「あ、いや…その。い、今のは一人言ですっ。…それより」





「それより?」





「つい勢いに乗って、花音さんに会いたいとか言っちゃいましたが………本当に大丈夫なんですか?」





よくよく考えれば
私みたいな一般人が
アーティストに会うなんて
普通はダメなんじゃ?





「大丈夫だよ」





「上司とかに怒られたりしない?」






「上司………つーか俺、この会社の社長だから」





なーんだ、そうなのか!
…………ってえええええっ!?
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