恋歌-Renka-
「名前は?」
「栗乃木 琴乃って言います」
「琴乃ちゃん……か。涼太は元気?」
「何でそれを?」
花音さんの口から出た
言葉に驚いた私は
目を見開いて彼女を
凝視する
「涼太と一緒にいるところを見たから。」
花音さんは柔らかく
微笑みながらしかし
悲しそうに呟く
「ええ、元気ですよ……私は後輩としてよく、お世話になっています。」
「そう。それなら良かった!」
「花音さんは、まだ涼太先輩が好きなんですか?何で、先輩に会いに行ってあげないんですか?」
「それは…………」
私の質問に
表情を曇らせる
「答えて下さい」
戸惑う花音さんをよそに
私は真剣に尋ねる
「貴女になら言っても平気よね。でも涼太には絶対言わないで………」
そこまで言って
花音さんは口を閉ざす
その、焦れったさに
少しイライラしてしまう
のが正直なところ
暫しの沈黙が続き……
「私ね………」
やっと花音さんが
口を開いたーーーーーー