恋歌-Renka-




他愛もない会話をしているうちに
会議室に着いて、中に入る。




「あー、えっと何組?」



先輩らしき人……っていうか
モロ学年カラー違うから
先輩なんだが、私たちを
見て話かけてくる。


「あ、1年4組です。」


淡々と答える西谷。


「おーけー。じゃあ、そこ座って」



先輩に促され席に着く。


みんなが集まったところで
委員会の始まりだ。



「えーと、俺が委員長の伊里沢 塁だ。クラスは3-5な。新入生、分からないことがあったら、何でも聞いてくれ。」


「私が副委員長の原山 澪。クラスは3-3よ。みんなよろしくね。」



委員長→副委員長→3年→2年→1年



そんな順番で自己紹介をしていく。



自己紹介が終われば
委員会の方針だの何だのを
聞かされて、30分くらいで
終わった。



私はどんよりした顔をして
会議室を出る。


「大丈夫ですか?」


「あ、いや大丈夫。ちょっと疲れただけだ。」


私は人混みが嫌い。
7クラスから二人ずつ
それも全学年が集まれば
それはそれは酷い数で…


吐き気が私を襲っている。



「うーん、ちょっと休んでから帰りましょう!」



そう言って、私の手をとり
教室まで連れていき席に座らせる。




大きくて暖かい手だったな…
汐莉おばさんとは全然違うのに




どこか彼女に似たような
温もりを感じてホッとする。



「大丈夫ですか?」



心配そうに顔を覗く西谷に
不覚にもドキッと鼓動が高鳴る。




でも、今の私にはまだ
この高鳴る鼓動の理由は
理解できていなかった。



「もう大丈夫。なんか良くなった。」



「そうですかっ!」



パァっと表情を明るくして
子供のように笑う西谷に
つられて私も笑う。




すると、西谷はさっきと
同じように顔を背けた。
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