恋歌-Renka-





「離してくれ!!俺にはどうしても話さなきゃいけない理由があるんだ」



「いい加減にしないと警察呼ぶぞ!!」



「何の騒ぎ?」



声のした方へ振り向けば
そこには……………



「霧山………」



高校生の時の面影を残しながら
俺たちを冷めた目で見つめる
霧山が立っていて




そして驚く様子もなく




「その人は俺の知人だ、離してやってくれ」





警備員に命令をする。





「し、しかし………佐久間社長」





「大丈夫だ」





霧山(佐久間)の一言で
警備員は俺から離れ
会釈をし所定の位置に戻る



俺は客室に案内され
しばらく沈黙が
続いたあと…………



「琴乃ちゃんから聞いたのか?」



霧山の口から
そんな言葉が出た。



「何で、琴乃を知ってるんだ?」




驚きのあまり
目を見開いて
彼を凝視する



「ん、半年前くらいに出会ってから、仲良くしてもらってる」



「そうなのか………琴乃が言ってたんだけど、ここに花音がいるって……」



「いるよ、契約中だからね。でも、あいつの事務所は違うとこだよ。なんせ、ここはレコード会社だからね。アイドルやアーティストの育成はしてない」




「じゃあ、それはどこにある?」



「教えてもいいけど………花音はもう、帝と会う気は無いと思う。」




「何で?」



「だって花音は…………」



ガラガラガラッ



扉が勢いよく開いたかと思えば



「遙、余計なこと言わないで」



ハイヒールを履いた
ナイスバディな女性が
霧山の名前を呼びながら
入ってきたーーーーーー





「花音…………」




「遙、ちょっと席を外してくれない?」





俺の呟きに答えるより先に
霧山を追い出す花音





「はいはい。まったく俺の会社なのになー!追い出されるの今日で二回目だよ」





「遙の会社じゃなくて、私の父の会社よ」





「はいはい、そーですか」





霧山は後ろ姿を
俺たちに向けたまま
手を振って去っていった。



残された俺と花音。



「涼太、久しぶり」



彼女が先に口を開いたーーー
< 242 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop