恋歌-Renka-
「離してくれ!!俺にはどうしても話さなきゃいけない理由があるんだ」
「いい加減にしないと警察呼ぶぞ!!」
「何の騒ぎ?」
声のした方へ振り向けば
そこには……………
「霧山………」
高校生の時の面影を残しながら
俺たちを冷めた目で見つめる
霧山が立っていて
そして驚く様子もなく
「その人は俺の知人だ、離してやってくれ」
警備員に命令をする。
「し、しかし………佐久間社長」
「大丈夫だ」
霧山(佐久間)の一言で
警備員は俺から離れ
会釈をし所定の位置に戻る
俺は客室に案内され
しばらく沈黙が
続いたあと…………
「琴乃ちゃんから聞いたのか?」
霧山の口から
そんな言葉が出た。
「何で、琴乃を知ってるんだ?」
驚きのあまり
目を見開いて
彼を凝視する
「ん、半年前くらいに出会ってから、仲良くしてもらってる」
「そうなのか………琴乃が言ってたんだけど、ここに花音がいるって……」
「いるよ、契約中だからね。でも、あいつの事務所は違うとこだよ。なんせ、ここはレコード会社だからね。アイドルやアーティストの育成はしてない」
「じゃあ、それはどこにある?」
「教えてもいいけど………花音はもう、帝と会う気は無いと思う。」
「何で?」
「だって花音は…………」
ガラガラガラッ
扉が勢いよく開いたかと思えば
「遙、余計なこと言わないで」
ハイヒールを履いた
ナイスバディな女性が
霧山の名前を呼びながら
入ってきたーーーーーー
「花音…………」
「遙、ちょっと席を外してくれない?」
俺の呟きに答えるより先に
霧山を追い出す花音
「はいはい。まったく俺の会社なのになー!追い出されるの今日で二回目だよ」
「遙の会社じゃなくて、私の父の会社よ」
「はいはい、そーですか」
霧山は後ろ姿を
俺たちに向けたまま
手を振って去っていった。
残された俺と花音。
「涼太、久しぶり」
彼女が先に口を開いたーーー