恋歌-Renka-
※花音視点
やっと再会出来たのに
去って行く涼太の背中………
ごめん………傷つけて。
遅くなりすぎてごめん。
でも、私といたら
君は幸せになれないんだよ。
だって私…………
もうすぐいなくなる
かもしれないから…………
好きじゃないなんて嘘。
この涙は一体どうすれば止まる?
「花音………」
いつの間にか横に
立っていた遙が
私を力強く抱き締める。
佐久間 遙
私の元婚約者
私の父親の養子縁組から
外れた遙の本来の名字
それが佐久間だった。
「遙………く、苦しいよ。私、涼太が好き………大好きなのに。」
「分かってる………俺のせいだよな、ごめん。」
「違うよ………遙のせいじゃない」
違う…………全部違う。
遙のせいじゃない………
誰のせいとかじゃない。
だってこれは
必然的なモノだから
「とりあえず、落ち着け。じゃないと体にさわるぞ………」
そう言って遙が
私の背中を擦る
涼太を無くしたいま
私の良き理解者は
遙しかいない
だから、せめて私が
この世からいなくなるまで
側にいて…………
一人にしないで…………。