恋歌-Renka-
だけどその生活は
俺が想像していたものとは
遥かに違っていたんだ……
父となった孝さんは
デカくて無駄に広い家に
俺をほっぽって仕事ばかりしていて
たまに返ってきたかと思えば
「遙……ちゃんと勉強はしているのか?お前は大事な跡取りなんだから、霧山家に恥じぬよう文武両道を極めなさい。」
口癖のようにそればかり言っていた。
あまつさえお前には婚約者がいると
恋愛の自由まで奪われて
ただただ、つまらない毎日を
勉強と運動だけに費やしてきた。
満たされない虚無感を
埋めるすべが見つからなくて
自分は一生、孤独なんだと
そう思ったらなんか真面目に
生きてるのも馬鹿らしくなって
気づけば俺は……
人の幸せをぶち壊すのが
趣味になっていった。
そうすることで少しでも
優越感を得たかったんだと思う。