恋歌-Renka-



「急にどうした?」



「べ、別に何でもない!ちょっと飲み物買ってくる!」



焦るように教室を出ていく。



どうしたんだろうか?
私、何かしたかな?



とりあえず待ってよう。



そう思って机に突っ伏した。




どれくらい時間が経っただろう…




「起きて…」



ふと、そんな声が聞こえた。



「んん……。」


いつの間にか寝ていた私は
目を擦りながら顔を上げる。




そこにいたのは西谷ではなく
可愛い顔した茶髪の男の子。



「誰だ?」



「えー、同じクラスなのに僕のこと知らないの~?」



「覚えてない。」




「美盛 蒼だよ。蒼って呼んで。」



「ああ、西谷の親友の美盛か。」



私は一人で納得しながら
教室中に視線を回す。



しかし、西谷はどこにも居らず
帰ってくる気配もない。
< 25 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop