恋歌-Renka-
「急にどうした?」
「べ、別に何でもない!ちょっと飲み物買ってくる!」
焦るように教室を出ていく。
どうしたんだろうか?
私、何かしたかな?
とりあえず待ってよう。
そう思って机に突っ伏した。
どれくらい時間が経っただろう…
「起きて…」
ふと、そんな声が聞こえた。
「んん……。」
いつの間にか寝ていた私は
目を擦りながら顔を上げる。
そこにいたのは西谷ではなく
可愛い顔した茶髪の男の子。
「誰だ?」
「えー、同じクラスなのに僕のこと知らないの~?」
「覚えてない。」
「美盛 蒼だよ。蒼って呼んで。」
「ああ、西谷の親友の美盛か。」
私は一人で納得しながら
教室中に視線を回す。
しかし、西谷はどこにも居らず
帰ってくる気配もない。