恋歌-Renka-
幸い、父の目的も一緒なので
彼女を連れ去るのは簡単だった。
彼女の1番大切な人を傷つけて
さらにもっと痛い目見るよと
脅しをかける
泣きながら俺に従う姿が
心底おもしろくて楽しくて
だけど、彼女はそんな俺に
可哀想な奴という
黙れ……そんなことわかってる
俺の人間としての何かが酷く
歪んで壊れていることなんて
自分が1番よくわかっているのに
そんな俺を見透かして
わかったかのような
態度をとる花音が
腹立たしくて……
無理やりキスして
この先、一生……
俺のそばで苦痛に耐えながら
孤独な人生を送ればいいと
だけど……
アメリカに渡ってからの花音は
いつ何時でも俺のそばにいて
俺のわがままにも付き合ってくれて
悪いことしたら怒ってくれて
悲しいこと、楽しいこと、嬉しいこと
何でも俺と共有してくれた。
そしてアメリカ生活が
5年も経つ頃には……
あんだけ憎んでた気持ちが
いつの間にか知らないうちに
"愛"に変わっていたーーーーーー。