恋歌-Renka-




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Dear 花音




まず初めにお帰り。



この手紙はお前が
五年前に残した
手紙の返事な。




俺、ずっと待ってたよ




お前が居なくなった
その日からずっと
片時もお前を
忘れたことなんてない。





だから帰ってきて
くれてありがとう。




俺は今までも
これからも…………





お前が大好きだ。





愛してる。






だから、俺と結婚して下さい。






From 涼太





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少しクシャッとなった
手紙には私への想いが詰まった
言葉がたちが並んでいて………



それとともに
ケースの中で光るソレは
私の心に酷く突き刺さる。



「涼太!!」



また別の誰かが涼太の病室に入ってきた。



「涼太ママ……涼太パパ」



「……あ、あなたは花音ちゃん!?」



「どうしよう……全部私のせいだ」




あの時と同じだ。




自分一人で決めつけた答えに従って
君を置き去りにしたあの時のように



また自分勝手な理由で
君を突き放した。



二人で相談して考えていれば
こんなことにはならなかった?



琴乃ちゃんが自分を責めたり
遙を苦しめたり涼太の両親の
たった1人の大切な子供を
奪ったりしなくて済んだ?




全部、全部私のせい。





悲しすぎて苦しすぎて
涙も出ないよーーーーーー




私はなんて
愚かな人間なんだろう?





フツッ…………ーーーーーー






そこで私の意識は
途絶えたーーーーーーー





再び目覚めた時は
ベッドの上で……



隣のベッドで
涼太が眠っている。




そこで初めてたくさんの涙が溢れた。
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