恋歌-Renka-



涼太は私を呼び戻してくれたのに
どうして私にはそれが出来ないの?



ガラガラッ



扉が開いて、涼太ママが
病室に足を踏み入れる……。



「花音ちゃん……よね?久しぶりね」



「涼太ママ……。」



起き上がって
ベッドから降りる



とても綺麗で私の大好きな
涼太の頬にそーっと触れる。



「ごめんなさい……ごめんなさい」



涙でぐしゃぐしゃの私を
涼太ママはギュッと抱きしめた。



「謝らないで、花音ちゃん。佐久間くんから全部聞いたわ。旦那や涼太……みんなを守るために苦渋の決断をして、その小さな体で病気を患っても、大切な人を守り続けた花音ちゃんを誰が責めるっていうの……?」




「うっ……うわぁぁぁん!!!」



「ありがとう。息子に幸せを与えてくれて。涼太が花音ちゃんと出会えて、私は良かったと思ってるわ」




涼太ママの優しい言葉が
さらに私の涙腺を狂わしていく。




私と出会ってくれてありがとう
私を好きになってくれてありがとう
諦めないでいてくれてありがとう
人間嫌いの私を変えてくれてありがとう




私は貴方からたくさんのものをもらった。
だから、残りの人生……もう迷わない
今度は、私が君に愛をあげるんだ……




いつか来る奇跡を信じて。



その決意の日から
毎日毎日、涼太の世話をした。




看護師さんたちに負けないように
一生懸命出来ることは何でもやった




結局、手術できなかったけど
何故か私の体は逆に
回復していきそれが何よりの
強みになったーーーーー



きっと神様は応援してくれているんだと。
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