恋歌-Renka-



そんなある日



「花音さん、お久しぶりです」




涼太の病室に入ってきた
長身の男性が私に
ニッコリと笑いかける



最初、誰だか分からなくて
不思議そうに首を傾げると



「覚えてませんか?西谷です」




その名前を聞いて
えっ、と驚く。




「西谷って………あの西谷?」




「ふふっ…………そうですよ。ってか、美保、俺の後ろに隠れるのやめてくれません?」




西谷がひょいと首だけを
斜め後ろに向けると



強張った表情の
美保が西谷の後ろから
恐る恐る出てきて



「ひ、久しぶり!花音」



ぎこちない返事をする。



「あーっ、優樹たちに先越された!」



「蒼が遅いからでしょ!」



そんな言い合いをしながら
さらに二人が入ってきた。



あれは………………



「蒼と萌奈?」



「お、花音ちゃん久しぶりー」



「久しぶり」



私の姿を見るなり
手を振って私たちの
もとへ駆け寄る二人ーーーーー。




懐かしいーーーーーーー
みんな高校以来だーーーーーー
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