恋歌-Renka-
「あ、そういえばさっき美盛って奴が言ってたんだが…」
缶ジュースの蓋を空けながら
西谷に話しかける。
「え、蒼がここにいたんですか?」
驚いたような顔をする西谷に
私はコクりと頷く。
「西谷と帝が険悪なムードで、どっか行ったって。何かあったのか?」
そしてさっき美盛に言われたことを
そのままダイレクトに聞いてみる
すると同じように缶ジュースの
蓋を開けていた西谷の
動きがピタリと止まったーーー。
けれどそれは一瞬で
彼は悲しげな顔して
「何でもないですよ。ちょっとした喧嘩です。気にしないで下さい」
と言った。
それっきり彼は喋らなくなり
私も気まずくなって俯いた。
そこから数分後……
沈黙を破ったのは西谷だった。
「そろそろ帰りましょうか。」
「ああ。」
西谷の言葉に軽く返事をして
鞄を手に取り席を立つ
教室を出て二人で肩を並べて
歩き出したーーーーーーーーー。