恋歌-Renka-



入学から3日目



下駄箱で靴を履き替え
教室に向かう。



ガラガラガラッ



教室の扉を開いて中に入る。



「おはよう」



目の前には帝がいた。




「おはよう」



私は冷たく返事をして席につく
西谷はまだ来てないみたいだ。




「ちょっと冷たすぎるんじゃない?」



帝が不満そうな顔をして私の
席まで歩み寄ってくる。




「だからどうした?」




相変わらず冷たく返す私。




「ねえ、冬院さんて…帝くんたちと仲良すぎない?」


「あー、確かに。なんか、うざいよねー」



ふとそんな会話が耳に入ってきた。



あまりに興味が無さすぎて
今まで全然気づかなかったけど




私と帝が話している姿に
クラスの女子たちの視線が
集まる……



睨むような鋭い視線が。
私は、はぁっと溜め息を吐く。



そんなヒソヒソ声は
帝には聞こえておらず


「ねえ、俺の話し聞いてんの?」



不満そうな表情で
食い気味に聞いてくる。



「聞いてない。」



私は本を読みながら
帝の顔を見ずに冷たく返事する。



私に話しかけるな。
面倒な事に巻き込まれるのは御免だ。



そんなことを心の中で思いながら
ただ、ひたすら本に集中する。



「冬院さんと帝、おはよう」



しばらくして今度は
帝じゃない別の声がしたので



そちらに視線を向けると
西谷がにっこっと笑って
挨拶してきた。



「お、おはよう」



声がどもる。



「あ、優樹はよ。」



帝が西谷に挨拶をする。
喧嘩したんじゃなかったのか?



私は不思議に思い、帝と西谷を交互に見る。




そんな私に気づいたのか


「ああ、昨日仲直りしたんですよ。」



「昨日?」



「冬院さんと別れた後に、帝に会って仲直りしたんです」



西谷が丁寧に説明する。



なるほど



私は納得してコクコク頷く。
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