恋歌-Renka-
向かう先は屋上。
屋上なら、一人になれる気がして…
階段を上がり屋上の重い扉に
手をかけてキィッと開く
案の定そこには誰もいなくて
私はそっと胸を撫で下ろした。
しかし…………
「私、帝くんの事が好きなの! だから付き合って!」
女子生徒のやたらでかい声を
聞くや否や私は咄嗟に身を隠した。
そして思った。
何故、隠れる必要があったんだろう……
でも今更……
のこのこ出ていくわけにもいかず
私は静かに息を潜める。
「俺、あんたに興味ない。つーか、好きな奴いるから。」
帝の冷めきった言葉が
空気を凍らせた。
あー、いやー、うん。
ちょっと冷たすぎるんじゃないか?
いや、まぁ……
私が言えたことじゃないが……
そんなことを考えていると
バシンッ
「最低!」
派手な打音と捨て台詞を残して
女子生徒は泣きながら屋上を
走り去っていったーーーーーー。
まぁ、そうなるよな。