恋歌-Renka-



向かう先は屋上。
屋上なら、一人になれる気がして…




階段を上がり屋上の重い扉に
手をかけてキィッと開く




案の定そこには誰もいなくて
私はそっと胸を撫で下ろした。




しかし…………



「私、帝くんの事が好きなの! だから付き合って!」




女子生徒のやたらでかい声を
聞くや否や私は咄嗟に身を隠した。



そして思った。




何故、隠れる必要があったんだろう……




でも今更……
のこのこ出ていくわけにもいかず
私は静かに息を潜める。




「俺、あんたに興味ない。つーか、好きな奴いるから。」




帝の冷めきった言葉が
空気を凍らせた。


あー、いやー、うん。
ちょっと冷たすぎるんじゃないか?



いや、まぁ……
私が言えたことじゃないが……




そんなことを考えていると




バシンッ



「最低!」



派手な打音と捨て台詞を残して
女子生徒は泣きながら屋上を
走り去っていったーーーーーー。



まぁ、そうなるよな。
< 32 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop