恋歌-Renka-
どのタイミングで出ようかと
試行錯誤している中
「盗み聞きなんて悪趣味だね、隠れてないで出てきなよ。」
不意に放たれた言葉に
ドキンと胸が跳ねる。
バレてたのか………
私は仕方なく帝がいる
場所へと歩き出す。
「べ、別に盗み聞きしてたわけじゃないからな。たまたまだ、たまたま。」
これはあれだ……
不可抗力ってやつだ
と自分に言い聞かせながら
なんとか言い訳をする。
「ふーん、何しに来たの?」
訝しげな顔で聞いてくる帝に
「お昼食べにきた」
と真顔で答える。
「じゃあ、俺も一緒に食う。」
それがさも当たり前かのように
地べたに座ってパンを頬張り
始めるもんだから
もはや溜め息しか出ない。
私は呆れ顔で仕方なく彼の
隣に腰を降ろした。