恋歌-Renka-
「どうしたんですか?」
黙って立ち尽くす私に
心配そうな顔を向けてくる西谷。
「何でもない!」
と私は笑った。
教室へ戻ると同時に
チャイムがなる。
次の時間はLHR(ロングホームルーム)。
もしかしなくとも
体育祭についての
話し合いだろう。
いつものようにはしゃぎながら
教室にやってくる美島先生の
元気さに嫌気がさす。
朝から何故そんなに
テンションが高いんだ……
「はーい、まあ今日は体育祭のこと決めるんだけど、その前に!」
「「「その前に!?」」」
みんなが目をキラキラ
輝かせながら先生の次の
言葉に期待する。
「今学期一発目の席替えをしたいと思いまーす☆キラッ」
「「「っしゃあああぁ!!」」」
「「「やったあああっ!!」」」
げ、最悪だ。
しかも語尾のキラッて何なんだ?
はぁ…………
私は呆れと絶望が入り交じった
溜め息を吐きながら肩を落とす。
そんな私の思いとは正反対に
おおはしゃぎするクラスメイトたち。
ああ、うざい。
うるさい。うるさい。うるさい。
耳障りな声を遮断するかのように
机に顔を伏せて縮こまる。