恋歌-Renka-
いつの間にか寝ていたようで
周りの騒がしい雑音によって
目が覚める。
「ふぁあああ。」
欠伸をして辺りを見渡す
どうやら全員引き終わって
机を移動し始めてるようだ。
私も慌てて起き上がり
窓側の方へ机を動かす
「げっ………何でお前がいる」
私が移動した先の隣には
何故か帝がいて不機嫌そうに
「げって何? いちゃ悪いの?」
と眉をひそめて私を睨む。
「冗談はよせ。早く自分の席に帰れ。」
「いや、俺の席ここだから。」
何言ってんの?と言わんばかりの
表情で私を見下す目の前のこの男。
「は?ふざけるな! お前の机は席替え前から一歩も動いてないじゃないか!」
「はあ? 動いてるんだけど。ひとつ後ろに。」
私の言葉に彼は眉間に皺を寄せ
馬鹿にしたようにいい放つ。
よくよく考えてみれば
席替え前には、コイツの後ろに
美盛がいたような………
私は一気に顔が青ざめ
嫌な汗が滲みでる
ま、まさか!?
「つーか黒板見てなかったの?俺の席、お前の隣だから」
“隣だから”
”となりだから“
”トナリダカラ“
トナリ…ダ…カラ?
帝の言葉に一瞬思考が
停止したが、抱いていた
嫌な予感はすぐに確信へと変わる
状況を理解した私の
心の中での第一声
ノーおぉおおおおぉぉっ!!!
まさにこれだ。
先程、一瞬でも自分の運が
いいだなんて思ったことに
心の中で苦笑する。
そして酷く後悔した。