恋歌-Renka-
「坂梛さん、ありがとうございます!女子で他にいないなら、坂梛さんに決定します。いいですか?」
「私はいいと思いまーす!萌奈、運動神経抜群だから!」
「美保!」
顔を真っ赤に染めながら
困ったような顔をする彼女。
周りの誰もが賛成して
女子は坂梛さんに決定した。
“体育祭実行係り女子
坂梛 萌奈“っと。
「じゃあ、次は男子。誰かいませんか? ちなみに体育祭実行係は、学級委員と一緒に仕事してもらうんで、やる気のある人を希望します」
西谷の発言にある人物が
ピクッと反応する……
それはもちろん
「俺が、やるよ」
帝 涼太だ。
「え、帝? 冗談ですよね?」
「いや、本気だ」
帝の真剣ぶりにみんなが
凍りついたように固まる。
何故なら彼は自分から
面倒な仕事を引き受けるような
奴じゃないからだ…
美盛も口をポカーンとあけ
目を見開いて帝を凝視していたが
「あはー、なるほど。そういうことね」
と勝手に一人で納得している。
私には何がなるほどなんだか
まったくわからない。
この2ヶ月間で
彼のめんどくさがりっぷりは
嫌というほど見てきた。