恋歌-Renka-
体育祭の決めごとも終了し
今は帰りのHR。
「明日から体育の授業と放課後は体育祭の練習に使うからね!みんなサボっちゃダメだよ!」
「「「はーい。」」」
先生の話が終わり
挨拶をしてみんなが一斉に
教室から出ていく。
帰ろう……
そう思い帰り支度を始めると
「帰るの?」
隣から声が聞こえてきた。
そうだ、忘れてた……
私の隣には帝がいるんだった。
「当たり前だ」
視線を向けずに答える。
「じゃあ、俺も一緒に帰る」
は!?
私は驚いてバッと帝の方を
向いて目を見開く。
「何?ダメなわけ?」
怪訝な顔で聞いてくる帝に
対して、冷めた表情に戻った私は
「ダメだ。」
冷たく返す。
帰り支度を終えて鞄を持ち
帝の後ろを通り過ぎようとした…
けれどそれは帝によって止められる
私の腕が帝に捕まれた。
「何で避けるの?」
ドクン
心臓が跳ねる。
「べ、別に避けてない」
「避けてんじゃん、何で? 俺が冬院を抱き………っん!?」
まだ、クラスにいくらか
人が残っているにも関わらず
馬鹿な事を言い出そうとした
帝の口を両手で慌てて塞ぐ。
危なかった………
私は口から手を離し
帝の手をつかんで
逃げるように教室を出た。