恋歌-Renka-
あの日っていうのは
もちろん2週間前の
あの日の事で………
なんで美盛がこうなったかなんて
私には全然わからない。
「おい、蒼。冬院に近づくな。」
不機嫌丸出しな声で
私に抱きつく美盛を
引き剥がす。
「だいたい、俺だって名前で呼んでないのに、何でお前は…」
「呼べば?」
「へ!?」
帝の言葉を遮ってそう言うと
彼は間抜けな声をあげて驚く。
「何だ? 嫌なのか?」
呼ぶのか呼ばないのか
ハッキリしない帝にイラッとして
眉間に皺を寄せる。
「あ、うん。嫌じゃないけど…あまりにも予想外だったから。」
確かに前までの私なら
間違いなくこんなことは
言ってなかっただろう。
でも、美盛に限らず私も
あの日から
たった少しだけど
変わろうと思ったんだ。