来世にご期待下さい!〜前世の許嫁が今世では私に冷たい…と思っていたのに、実は溺愛されていました!?〜
 建前では気の利いたことを言う恋幸だが、心の中では「新妻気分で楽しい!」とうかれきっていた。
 その証拠に、座布団に腰を下ろしてスーツのジャケットを脱ぎ、緩く畳んで自身の後ろに置く裕一郎の様子を見送る彼女の瞳孔はハート型になっている。

 星川は二人にバレないよう小さく笑って座卓に人数分の取皿を置くと、「さあ、食べましょう」と言って今だ(ほう)けて立ちすくんだままの恋幸の肩を軽く叩いた。


「いただきます」


 全員で座卓を囲んで手を合わせ、軽く一礼してから各々箸を持ち料理をつまむ。今晩のメニューは、肉じゃが・鯖の味噌煮・味噌汁とほうれん草のおひたしだ。
 そして、(星川のサポートがあったものの)その全てを調理したのは恋幸である。
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