来世にご期待下さい!〜前世の許嫁が今世では私に冷たい…と思っていたのに、実は溺愛されていました!?〜
 何か言いたげにもじもじと足を動かす様を視界の端で(とら)えた裕一郎は、つい先ほどまで彼女の頭を撫でていた手を移動させてそっと片足の靴を脱がせると、自分の眼鏡を置いた時とは対照的にまるで割れ物を扱うかのような手つきで床に置いて恋幸のふくらはぎに手のひらを這わせた。


「んっ、……っはぁ、あ」


 恋幸は初めこそくすぐったそうに身じろぎしたものの、すぐに足を彼の手に擦り付け、顔を離して視線だけで「もっと触って」と訴える。

 その拍子に彼女の頬を涙が一筋伝い落ちれば、裕一郎の喉仏が一度大きく上下した。


「本当に、可愛い人ですね。気がおかしくなりそうですよ」
「えへ、へ……私も、裕一郎様のことが好きすぎておかしくなりそうなので、一緒ですね」
「……また、そういうことを言って……」
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