来世にご期待下さい!〜前世の許嫁が今世では私に冷たい…と思っていたのに、実は溺愛されていました!?〜
(わ、私オンリーって言いました……!?)


 古い表現をするならば、恋幸はまさに今トスリと音を立てて心臓に勢い良く矢が突き刺さったかのような感覚に襲われている。

 彼の落とした甘い爆弾で受けた傷――もとい、心の底から湧き上がった愛情は、『ときめき』なんて4文字で収めるには生ぬるかった。


「それにしても、貴女はやはり私に対して無防備すぎるのでは?」
「え?」
「分かっていましたか? 小日向さん。貴女、香水について聞いていなければ……私が笑っていなければ、あのまま抱かれるところだったんですよ?」
「!?」


 あまりにも直球な物言いに、恋幸は咄嗟(とっさ)に出かかってしまったおかしな声をすんでのところで飲み込み、一度大きな息を吐く。

 そして、真っ直ぐに彼の瞳を見たまま唇を持ち上げた。
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