来世にご期待下さい!〜前世の許嫁が今世では私に冷たい…と思っていたのに、実は溺愛されていました!?〜
「私も、もっとたくさん触ってほしいって思いました。でも……倉本さんは、社長室(こんなところ)で情を交わす男性(ひと)じゃないでしょう?」


 彼女の言葉を聞いて裕一郎はほんの一瞬目を見開いたが、息を一つ吐く間に“今まで通り”感情を察知させない殺風景な表情へ変化してしまう。

 しかし、眼鏡の奥にある青い瞳はひどく優しい色を浮かべており、その心の中を表すかのように恋幸の頬を撫でる手のひらは暖かかった。


「……さすがに、私を買い被りすぎですよ。たしかに、“ここ”で最後まで行為に及ぶつもりはありませんでしたが……あわよくば貴女にもっと触れたい、程度には考えていましたよ?」
「へ……っ!?」
「愛おしい貴女を前にして、あそこまで可愛いことを言われて。それでもまだ何もせずにいられるほど、私は『大人』ではありませんよ。理想に沿えず、すみません」
「なっ、どうして謝るんですか!」
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