来世にご期待下さい!〜前世の許嫁が今世では私に冷たい…と思っていたのに、実は溺愛されていました!?〜
「大切な恋人の誕生日は、きちんと祝いたいんですよ」
「……っ、すみ」
「はい。貴女が悪くない事で謝らない」


 長い指先が唇に押し当てられたかと思えば、裕一郎の大きな両手がまるで犬や猫でも可愛がるかのように恋幸の頬を包み込んで(やわ)く揉み始める。


(な、なに……!? なに!? 裕一郎様、今日はスキンシップ多すぎませんか!?)
「失礼。触り心地が良いものですから、つい」
「触り心地……」


 彼が手を離した後、今しがた言われたことを反芻(はんすう)しながら恋幸は自身の頬に触れてみるが、裕一郎の好む(らしい)『触り心地』とやらを同じように感じ取る事はどうにも難しかった。
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