予知夢で香月くんが死ぬことを知ってしまった。





***

時計が12時を回ったころー

前半組と後半組のシフト入れ換えの時間だ。


香月くん…
シフト休憩のとき一緒にいるって言ってくれたけど、忘れてないかな…。


香月くんの方を見ると、クラスの人と写真を撮っていた。

女子と距離近いよ…

彼女でもないのに、嫉妬している自分にはっとなり、目をそらした。


「麻!おつかれー。」

「よっちゃん。」

「ちょっと来て!」


よっちゃんは私の手を引き、教室から連れ出した。
向かったのは、女子更衣室。


「どうしたの?よっちゃん」

「午後は香月くんと回るんでしょ?」

「アハハ…どうかな。忘れられてるかも…。」

よっちゃんは呆れたように笑うと、私を鏡の前に座らせた。

「麻は自分にもっと自信持って。」

「いや…私なんて…」

「麻は綺麗だよ。
細くてまっすぐな黒髪も素敵だし、
切れ長の目もカッコいい。」

「私、目付き悪いのコンプレックスだよ…」

よっちゃんはそれ以上何も言わず、
私のボサボサの髪を櫛でとかし、
メイクをしてくれた。

「スカートと靴下も脱いで。
着物で午後は回りな。」

「え…」

「私は麻の髪も目も、頼りないところもドジなところも、めっちゃ好きだからね。」

「ほ、誉められてます…?」

「誉めてるよ。バカ。」


よっちゃんは笑顔を私に向けると、
「よし」
と言って、私の背中を叩いた。


「香月くんと楽しんで回ってきな。」


鏡を見ると、白い着物に紺の帯、髪はかんざしで可愛くまとめられていた。


「よ、よっちゃん…っ
ありがとう~~!」

「はよいけ。」

「うん!あ、忙しくなったらいつでも連絡してね。」

「ありがと。」


私は再び教室に向かった。
心臓が高鳴る。緊張する。
でも…少しでも香月くんに可愛いと思ってほしい。


人ごみを抜け、教室の前に着くと、香月くんは外に立っていた。


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