予知夢で香月くんが死ぬことを知ってしまった。
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覚悟を決めたら、早速行動だ!
放課後、とりあえずよっちゃんには用事があると
嘘をつき、一人で香月くんを待った。
よっちゃんはきっと何か引っ掛かっている
だろうに、何も聞かずに笑顔で手を振ってくれた。
ひとまず校庭まで降り、
サッカー部の練習をボーッと見る。
あ、大連くんもいる。
でもやっぱり、上級生に混じってる点で
香月くんは目立つなぁ。
自分の身体の一部みたいにボールを操って、
友達もいっぱいいて、女の子にもモテて、
なんかやっぱ世界が違うなぁ…
世界ってポエミーか。
つまりはヒエラルキーだ。
見えやすさはそれぞれだけど、
どこの学校にもある。
きっと外から見たらしょうもないもの
なんだろうけど、その場にいる私たちには
めちゃくちゃ重大なこと。
私は赤みを帯びてきた空に小さくため息をついた。
サッカー部が顧問の元に集まり円になっている。
練習終わった…
この時間、ボーッと香月くんを待っていただけの
私は"中の中"で当然かもしれない。
香月くんを守ることで、
私は何か成長できるのかな…
「よいしょ…」
重たい腰を持ち上げ、
スカートについた砂を払った。
「よし、行くか!!」
暗くなった気持ちを無理やり鼓舞し、
私は校門の方へ向かって歩き出した。