予知夢で香月くんが死ぬことを知ってしまった。
麻side
***
キーンコーンカーンコーン…
帰りのチャイムが鳴り、
私は膝を打って立ち上がった。
今日は午後から雨だから、サッカー部は室内で
筋トレをしているらしかった。
なので、私は教室で下校時刻を待っていた。
さすがに筋トレしてるのをそばで見守る勇気は
ない。
ストーカーだけじゃなくて
変態のレッテルも貼られてしまう。
「はぁ~…」
昼休みの完拒否を思い出して思わずため息が出る。
あんなにハッキリぐさぐさ刺さなくても
いいじゃないか…
怖かったし。
きっと完全に嫌われたな。
せっかく友達になったのに。2日くらいだけど。
雨がポツポツと地面を打つ。
自分の手に落ちる涙の感覚を思い出して、
自然と夢の内容を頭に浮かべた。
一週間、毎日同じ夢を見た。
でもほとんど香月くんが死ぬかもしれないときの
詳しい情報に進展はない。
まさに暗中模索。
むしろどんどん嫌な方向に進んで行くような…
来週…よっちゃんに話してみようか…
一人でも味方がいてくれたら、
今の前がわからない暗闇でも光が見える気がする。
靴を履きかえ、昇降口まで出てハッとなった。
傘…忘れた。
というか朝、自転車で来ちゃったし。
ついてない…
香月くんはどうやって帰るんだろう。
キョロキョロしていると、ちょうどサッカー部の
集団が部室棟の方から歩いてきた。