予知夢で香月くんが死ぬことを知ってしまった。
着替え終わったサッカー部の1年生が
まとまって部室棟から出てきた。
う…この集団の中、話しかけるのはなかなか勇気がいるぞ…
やっぱり…いや、でも…
いつもだったら『やっぱり』となった時点で絶対に諦めていた。
でも、今日の私は正義感と責任感で
怖いものほぼなし状態になっていた。
「香月くん!」
自分が思うよりもよく通ってしまった私の声に
そこにいるサッカー部員全員が反応した。
「??」
は、初めてまともに顔見たかも…
「ちょっと…いいかな…?」
私がドキドキしながら(←緊張)そう言うと、
周りのサッカー部員がヒューとかうらやましい!とか言って煽ってきた。
中学生か!
まぁ数ヵ月前まではそうだったけどさ!
男子ってガキ!!
恥ずかしさを男子への怒りに変換していると、
香月くんはあっさり「いいよ」と言って私のところに来てくれた。
意外だ。
煽られて、むきになったり照れたりしないんだ…
告白してくる相手の目を(←いや、しないけどな)
ちゃんと見てくれるなんて、結構大人…
意外な好印象で、香月くんを守る意欲がさらに
上がった。
「こ、こっち…」
私が場所を変えようと促すと、
黙って付いてきてくれた。