予知夢で香月くんが死ぬことを知ってしまった。
途中私の家に寄り、傘と勉強道具を持ち、
最近買った秋物のワンピースに着替えた。
少しでも『色気』出さないと。
「お待たせっ」
元気よく玄関から出ると、ほっぺを片手で潰された。
「なっ、なに!」
「なに悠長に着替えてんだよ。
雨ん中待たせやがって。」
確かに皮膚にポツポツと水滴が落ちる感覚。
予知夢とリンクしそうになるのを、慌てて取り消す。
「ごめんって…。
お詫びというか教えてくれるお礼にコンビニでなんかおごるよ。」
「当然だ」
よっちゃん、これどうやったら甘い雰囲気になるのでしょう。
私の知ってる少女漫画では、見慣れない私服で出てきたヒロインに、ヒーローはドキッとしてテレるのですが…。
コンビニでお菓子を買い、いつも送り迎えする道を通って、香月くんの家に着いた。
そういえば、マンションの敷地内に入るのは初めてだ。
「そういや、麻が中まで入ってくるの初めてだな。」
「あっ、うん。私も今そう思ってた。
キレイなマンションだね。」
「普通だろ。」
香月くんの家は5階だった。
自分の家は一軒家だから、マンションってなんかワクワクする。
「ここ。入って。」
「お邪魔します…」
室内は整頓されていて、インテリアもおしゃれに統一されている。
私の家なんて、タンスにポ○モンのシールとか貼ってあるよ…。
この無駄のない感じ、香月くんの家って感じだ。
「部屋片付けるから、冷蔵庫から飲み物出して。
俺、麦茶な。」
「えっ」
いきなり他人の家の冷蔵庫漁るのは気が引けるけど…
言われたんだからしょうがない。
飲み物の準備をしていると、香月くんが部屋から出てきた。
「俺の部屋でいいよな。」
「う、うん!」
なんか…
なんか緊張してきた…。
私はコップを2つ持ち、恐る恐る香月くんの部屋に入った。