下弦の月*side story*
《八重》
沖田さんと、松本先生の所に身を寄せてから。
日に日に沖田さんの容態は悪化していた。
相変わらず、口癖のように。
皆は何処にいるのか、訊ねたり。
独り言ように、近藤さんの盾にならなきゃ、と呟いている。
側にいる私は特に何も言えずに、決まり文句のような慰めの言葉しか言えなくて。
衰えていく沖田さんがあまりに儚くて………辛い。
月香のように、強かったら私はもっと沖田さんの支えになれたのだろうか。
新撰組の皆と過ごす中で、少しずつ強くなっていく月香を見ていて。
羨ましかった。
だけど、それも今にして思えば月香が本来、持っていた芯の強さなのかもしれない。
引き出したのは土方さんで、土方さんの側に少しでも長く居ることで、もっともっと強くなって。
自分の時代に帰っても生きていけるに違いない。
愛する人が側に居なくても。
ーーーそんなある日。
療養中の邸に、原田さんが一人で現れた。
寝ている、沖田さんを確認すると。
邸の外に私を呼び、
「近藤さんさんが、先日、斬首された…らしい…」
と、悲痛な顔で教えてくれた。
「…そうですか…沖田さんには言わない方がいいですね。」
そうだな、と泣きそうな私の頭に手を置いたと同時に。
原田さんの腕の中に、すっぽりとおさめられていた。
離れようと、身動ぎしても敵うはずはなく。
「そんな、泣きそうな顔をしてっと…勘の良い総司のことだ。何かあったのかって感ずかれちまうぜ。抱き締めててやるから、泣いちまえよ。で、総司の前には笑顔で戻れ。」
八重。
優しい、いつも助けてくれた温かさに。
声に、抵抗を自然と止めて原田さんの胸で涙を流していた。
沖田さんと、松本先生の所に身を寄せてから。
日に日に沖田さんの容態は悪化していた。
相変わらず、口癖のように。
皆は何処にいるのか、訊ねたり。
独り言ように、近藤さんの盾にならなきゃ、と呟いている。
側にいる私は特に何も言えずに、決まり文句のような慰めの言葉しか言えなくて。
衰えていく沖田さんがあまりに儚くて………辛い。
月香のように、強かったら私はもっと沖田さんの支えになれたのだろうか。
新撰組の皆と過ごす中で、少しずつ強くなっていく月香を見ていて。
羨ましかった。
だけど、それも今にして思えば月香が本来、持っていた芯の強さなのかもしれない。
引き出したのは土方さんで、土方さんの側に少しでも長く居ることで、もっともっと強くなって。
自分の時代に帰っても生きていけるに違いない。
愛する人が側に居なくても。
ーーーそんなある日。
療養中の邸に、原田さんが一人で現れた。
寝ている、沖田さんを確認すると。
邸の外に私を呼び、
「近藤さんさんが、先日、斬首された…らしい…」
と、悲痛な顔で教えてくれた。
「…そうですか…沖田さんには言わない方がいいですね。」
そうだな、と泣きそうな私の頭に手を置いたと同時に。
原田さんの腕の中に、すっぽりとおさめられていた。
離れようと、身動ぎしても敵うはずはなく。
「そんな、泣きそうな顔をしてっと…勘の良い総司のことだ。何かあったのかって感ずかれちまうぜ。抱き締めててやるから、泣いちまえよ。で、総司の前には笑顔で戻れ。」
八重。
優しい、いつも助けてくれた温かさに。
声に、抵抗を自然と止めて原田さんの胸で涙を流していた。