誰が為に、完全犯罪
「・・・アミ?・・その傷は・・?」
「・・・スッ・・引っ掻かれた・・・。」
パーカーへと着替える際、その白い肌に真新しいひっかき傷があるのに気付いた。
アミ曰く、背中を刺した後、
かなり抵抗されたらしく、
その際に負った傷との事だった。
「・・スッ・・ねぇパパ・・わだじ・・。」
「大丈夫・・!
俺はここに残って、アミの痕跡を全て消す。
大丈夫・・大丈夫。
明日からもLINEでアミに色々と話をする。
だから今日はこのまま、
真っ直ぐに家に帰って大丈夫・・!」
「・・わだじ・・捕まるのがなぁ・・?」
「大丈夫だから・・!
パパが絶対にアミを守る・・!
絶対にアミを警察に捕まらせない!!」
「・・・アァァごめんなざい・・
・・ごめんなざいパパ・・!」
再び涙腺が爆発したアミを胸の中に寄せてしばらく・・逃げ出すようにここを去るアミを見送った後、
改めて部屋の中を・・新庄の死体を見回す。
「・・・・・・・。」
アミの体を引っ掻いたということは・・
「やっぱり・・・・。」
1本1本、指を確認していくと、
右手の中指にそれらしい跡が残っていた。
きっと警察の事だから、ここから“皮膚”を採取して“物証”に繋げるに違いない。