誰が為に、完全犯罪
6月7日
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「ご協力ありがとうございました。」
地図に付けた印に、また“×”が付く。
「なかなかそう簡単に見つかりませんね。」
「だがこっちのカードは強いぞ。なんてたって“金髪ピアスにタトゥー”だからな。」
「小柳アミさんは失礼だけど、
“どこにでも居そうな、
ありきたりな女子高生”
って感じの子だけど、新庄君の見た目はかなりインパクト強いですからね。
店員の一人や二人、
覚えているはずです。」
「今日中にあと2~3軒回っておきたいな。」
「・・・・相馬さん。
少し話変わりますけど・・。」
「うん?」
「事件に直接関係あるか分かりませんが、新庄君の遺留品の中で1点気になる事が・・。」
「なんだ?」
「彼のスマートフォンです。
電話帳も画像フォルダも、
全て消去されていました。
TwitterとInstagramはそのままでしたが、
LINEは見当たらなかったので、
恐らくアンインストールされてます。」
「・・・・・気になるな。」
「ですよね?しかも鑑識班が最初に現場検証した時、本体が“濡れてた”って言ってました。」
「濡れてた?」
「もしかしたら犯人が“水没させようとした”可能性があります。
ただ、彼のスマホは防水加工品だったので、
失敗して直接イジったって所ですかね?」
「ロックはどうやって解除したんだろう?」
「指紋認証だったので、
遺体に触らせれば解除できます。」
「って事は・・何か犯人にとって都合の悪い物が新庄君のスマホの中に入ってたって事か。」
「デジタル班になんとか復元できないか依頼中ですが、望みは薄いみたいです・・。
犯人が消したかったのは電話帳なのか、
LINEなのか・・・。」
「フォルダに保存されていた“写真”なのか・・。」