誰が為に、完全犯罪


「もう一度・・やり直せないか・・?」


「・・・・・・・・・・・・。」



何度この言葉を投げかけても、
元 妻の首が縦に振ることは無かった。


アミが小学校に行っている間に押された印鑑。

今年の運動会を前にして、
役所へ提出された届け出。


この日から元 妻は旧姓の小柳に戻って、アミは“大村アミ”から【小柳アミ】へと変わった。



「養育費は毎月26日にお願いします。」


「分かった・・・。」


「6月と12月は月初にも振り込んでもらえると助かります。」


「もちろんだよ・・・。」



元々、同じ会社に勤めていたから、
給料が何日に支給されて、

ボーナスが年に何回、
いつ支給されるのかも知っている。


元 妻と交わした最後の会話は、
事務的な・・感情の無いやり取りだった。




365日中365日。

ずっと記憶が更新されていったアミの表情・思い出。


この日から、アミと会えるのは、
365日中1日となった・・・・。



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