誰が為に、完全犯罪
“一緒に居酒屋でご飯を食べました”
“コンビニに寄りました”
“あの部屋に行きました”
“でも殺してません”
・・この話を“信じろ”という方が無理がある。
「相馬さん。何かありますか?」
「・・小柳さん、一ついいですか?」
「はい・・。」
「新庄君とはホントにそういう関係だったの?」
「え・・・はい・・。」
「何か弱みを握られてたんじゃないのか?」
「え・・・そんな事ないですけど・・。」
「例えば“行為中”の写真を撮られて脅されてたとか・・
関係解消したかったのに、
それが出来ずに困っていたとか?」
「あの・・新庄さんは・・
いつも美味しい賄い作ってくれて・・
お小遣いもいっぱいくれてたので・・
困ってはいませんでした・・。」
「そうですか。分かりました。
ご協力ありがとうございました。」
増川に目配せして、
この場は取りあえず話を切り上げる。
また出直すとして、
少しこの子を洗ってみるか・・。
ここまでで小柳さんの表情に、
これといった動揺が見当たらない。
随分と落ち着いた様子に見えるが、
17歳の女の子が普通・・
こんな芝居打てるのか・・?
「相馬さん。なんかそれっぽくないですか?」
「あぁ・・。もしかしたらもしかすると・・
彼女はホントに無関係かもしれない。」
「ですよね・・。
小柳さんからは犯罪の匂いがまるで感じられません。
“私は殺してない”
っていう自信の現れがハンパないです。」
「ハーフ&ハーフだな。
ホントに無関係なのか、
あの年齢でとんでもない怪物なのか・・。」
「あ~~・・厄介なヤマになってきましたね・・。」
「いやでも・・
私の刑事の勘が疼いてる。
小柳アミは何かしらで、
この事件に必ず関わってるはずだ。
署に戻ったらあの子の事を調べてみよう。」