誰が為に、完全犯罪
吐き気を催しそうだけど、
捜査の為にはしょうがない。
先ほど遠目から眺めたビニールシートに近づいて、改めて手を合わせた後にガバッと外した。
「・・随分とヤンチャしてそうな子だね。」
金髪にピアス。右肩にはタトゥーか・・。
「見た目は派手ですが、店長さん曰く、
料理の腕前は一級品だったそうです。」
「あ、彼は調理場の担当だったの?」
「はい。今はバイトですが、今年中に正社員として雇用する予定だったそうです。」
「・・・・・増川。これ見てみ。」
「はい・・・。」
“よっこいしょ”と声を出しながら、仰向けになっていた遺体を横向きに持ち上げる。
「こうやって傷口だけ見ても・・
色々と分かる事がある。」
「・・・・あ!ここだけ深いですね。」
「恐らく一撃目は背中。
ここは“力一杯”って感じだな。
その周辺やお腹は“刺して抜いて”って・・
とにかく“手数重視”。」
「さすが元 検死官・・!
でも・・それが何か?」
「彼は背中を刺された後、
恐らく必死になって【抵抗】したはずだ。
だから犯人は慌てて・・いや“錯乱”して、
とにかく彼の息の根が止まるまでメッタ刺しにしたって所かな。」