空を舞う金魚
よろしく頼むよ、と笑う部長に微笑んで挨拶する彼の横顔を斜め後ろから見る。高校の卒業式の時に会った、あの渡瀬くんに似ている気がする。
……いや、卒業式の時よりも横顔が精悍だろうか。髪の毛も高校の時より短くて色は明るく、清潔感溢れるサラリーマンだ。本人だろうか……。
どきんどきんと心臓が早鐘を打つ。千秋は明らかにあの時まで記憶が戻っていた。
十年間、七夕祭りに願っていた再会になるのかもしれない。それがこんな形で現れようとは。それも、砂本と一緒に。